総合アンチエイジングと腫瘍内科 森吉臣先生インタビュー
医療における水素の可能性
東京都港区赤坂にて、総合アンチエイジングと腫瘍内科の二つのクリニックを運営されている森吉臣先生は、「一般社団法人 水素と医療研究会」の代表理事を務められています。病気の治療と予防において、水素が役立つ可能性は大きいと考えておられる森先生に、医療分野を中心に水素の作用とその活用についてお伺いしました。
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- 水素との出会いについてお教えください。
森先生:10年位前に、海外製品でマグネシウムから水素を発生させるサプリメントを知ったのが最初ですが、そのときはどういうものだろう、と思うだけで、使いませんでした。私が実際使うようになったのは、及川博士が作られた水素パウダーと出遭ってからです。これは、サンゴカルシウムに水素を吸着させた水素化合物で、1粒飲むだけで10時間くらい、水素を出し続けると言われています。この水素パウダーを使うようになってからまもなくして、水素に注目している人たちと「研究会を作ろう」という話が持ち上がり、平成18年に「水素と医療研究会」を立ち上げました。現在の会員数は30名ほどで、ホームページでも水素に関する情報を提供しています。ちなみに水素研究の先駆者といえば、アメリカの天才科学者、フラナガン博士の名が挙げられます。彼はインドの奥地にあるフンザ村の人たちが、非常に長寿な理由を探求し、日常使っている水に着目しました。その水の正体を研究するうちに水素に行き当たり、そこから水素が健康に役立つことを解明していったといわれています。
- Q
- 先生ご自身は、水素の作用をどのように評価されていますか。
森先生:水素の作用で一番重要なのは、活性酸素を消すことで、特に最も酸化力の強いヒドロキシラジカルを消すことです。こういう作用のある物質は、身近なものでは水素くらいしかないと思います。病気の90%以上は、活性酸素が原因と言われていますから、これを除去する水素を医療機関で使わないのは非常にもったいないと私は思います。医療で活性酸素対策するということは、病気の予防にもなるし、治療にもなるわけですから。
- Q
- 医療関係者の間では注目度が高まってきているのでしょうか。また臨床現場では、使われ始めているのでしょうか。先生ご自身は、水素の作用をどのように評価されていますか。
森先生:水素への注目度は高まってきていると思います。実際に医療現場で脳梗塞や心筋梗塞の患者さんに大量に水素を使うことによって、障害が軽微に経過したという症例も出てきています。しかし、日本の医療制度の枠内で、水素を臨床に取り入れるは難しいでしょう。原則、混合診療は認められていませんから、国民皆保険という制度が足かせになっていると考えられます。
- Q
- 森先生のクリニックでは水素をどのようにお使いになられていますか。使用感はいかがですか。
森先生:点滴とサプリメントを中心に、アンチエイジングおよび腫瘍内科の両クリニックで使用しています。実際、水素の作用機序は、非常に広範囲だと思います。その結果は、免疫力を上げる、痛みを緩和する、アレルギー反応を抑える、代謝を改善する、そしてエネルギーを作り、パワーを出すなどが考えられます。私の実験では、水素を摂取すると乳酸がたまらず、疲れないという結果がみられました。ウエイトトレーニングを1時間位してもらって、前後の乳酸値を測ると水素を飲んだ時は、ほとんど数値が上がらなかったのです。乳酸は、たまると疲労しますが、血流が良いと肝臓に運ばれてエネルギーに変えられるという性質があるので、この結果は、アンチエイジングという面でも注目できます。水素を摂取し始めて、体感として様々な改善がみられるのは、3ヵ月後くらいでしょうか。もっと短期間の場合もありますけれども。
- Q
- お話にあった、水素がエネルギーになるというのは、どういうことでしょうか。
森先生:私たちは、食べ物からエネルギーを得ますが、体の中では、細胞の中に存在するミトコンドリアが、食物から水素を取り出し、エネルギーにしています。言い換えると私たちは、水素を得てエネルギーを作るために食べているのですよ。
- Q
- ミトコンドリアの活動には水素が必要なことが昨今の研究で明らかになった、という記事を読みました。そしてミトコンドリアは、呼吸から得られる酸素を使って、エネルギーを生産するという働きも持っていますね。このときに発生する活性酸素が、病気や老化の原因ですね。
森先生:そうです。水素は、ミトコンドリアを活性化し、エネルギーの元でもあると同時に、活性酸素を除去する働きを持っていますので、免疫力を高めたり、代謝を改善したりできるのです。自己治癒力の話を少ししましょう。私たちは、体の中を自由に巡って、修復するという働きをしてくれる幹細胞を持っています。その数が30歳過ぎたあたりから減少してきて、病気になりやすくなる。幹細胞を増やすことができれば、元気でいられるわけですが、水素には、この幹細胞を増やしたり、活性化させたりするという働きも期待できます。
- Q
- 今後、どのような病気の治療に対して、水素の力を期待されますか。
森先生:まず、日本の三大疾患といわれるがん、心臓疾患、脳血管疾患です。それからアレルギー系の疾患、リューマチなど免疫系の疾患。そういった分野で少し、データを集めたいと思っています。私の腫瘍内科クリニックでも使っていますが、がん治療、がん予防にも役立つと考えています。がんという異常細胞は、酸素欠乏に端を発します。体の一部で、酸素欠乏が慢性的な状態になると、正常な細胞が生きられなくなって、がんという酸素欠乏の中でも生きられる細胞に変化します。だから酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアは、殆ど必要ないのです。逆にミトコンドリアを活性させるとがんは自殺しますので、ミトコンドリアを活性化する水素は、がんの治療、予防に役立つと思います。水素の摂取には副作用もありませんので、もっと注目されるべきでしょう。ただ、どのくらい摂取すれば、どのくらいの効果があるのか、それは、今後研究しなければいけない課題です。
- Q
- 先生のクリニックでは主に点滴やサプリメントでお使いになられるとのことでしたが、家庭用として、水素水などの活用については、どのように思われますか。
森先生:健康促進、病気予防という面で良いのではないかと思います。ただ、水素はイオン化すると長時間留まることができますが、分子の状態だと抜けやすい。さきほど申し上げたサプリメントは、マイナス水素イオンとして存在しますが、電気分解によって作られた水素水などは分子状態ですから、作ってからなるべく早く飲用した方が良いでしょう。水素水サーバーが市販されていて、クリニックの待合室にも設置してありますが、ご自宅で手軽に飲用できる時代になったんですね。
クリニックでは、医療として水素点滴を独自に作って治療に使っています。水素点滴にはマイナス水素イオンが確実に作用して、体中の細胞に浸透していきますので、あらゆる疾患治療、予防に効果的です。
一方で、分子が小さい水素は、肌からも吸収しやすいですから、家庭では水素風呂なども良いのではありませんか。一生を元気に過ごすために病気を予防することが大切ですから、それをサポートしてくれるものとして、試す価値があると思いますね。
本日は貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。